空白を埋める
記録者 小 原 一 真(写真家・ジャーナリスト)

 

冊子『空白を埋める 1・2』​配布中

全国のコンビニでプリント頂けます。
​登録は下記のフォームからお願いします。

*下記、冊子プリント番号受付フォームから申し込むと「プリント予約番号(セブンレイブン)・ユーザー番号(ローソン・ファミリーマート)」がご登録頂いたメールアドレス宛に送られます。番号を最寄りのセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのマルチコピー機に入力し、プリント出力して綴じれば冊子が完成します。

 

番号は無料で配布していますが、プリントに関わる印刷費用のご負担をお願いします。

空白を埋める1 印刷費用:520円(税込)

空白を埋める2 印刷費用:120円(税込)

​プリント方法、冊子の綴じ方については、こちらの詳細ページをご覧ください。

制限区域の先にあるもの。

数値の先にあるもの。

 二〇二〇年五月から新型コロナウイルス感染症療養施設で働く看護師への聞き取りを始めた私は、この一年の間、少しずつ看護現場の言葉を記録してきました。この冊子には、二〇二一年三月に聞き取りを行ったコロナ病棟で看護に従事する三人の言葉を掲載しています。それぞれのインタビューの最後にあるプロセスレコードとは、看護師本人が思い返したいと考えたある特定の看護場面の詳細な記録です。

 

 一九五〇年代にアメリカの看護師、ヒルデガルド・ペプロウによって提唱されたプロセス・レコードは、看護現場における患者と看護師のコミュニケーションを時系列に記述、再構成した記録です。そこに、看護師の内省的な観察が加えられ、読むものは、その一つ一つの思考と言動の形跡を丹念に追っていくことが出来ます。

 

 

 

 

 この一年間、物理的に断絶された状況によって、見えるはずのものが見えなくなり、そこにあるはずの思いが伝えられず、そうやってあるはずのものが、ないもののようにぽっかりとあいた空白として、他者との間に埋められない隔たりを生んできました。そして、いつの間にか、私たちはその隔たりの「こちら側」と「あちら側」の全く異なる世界を生き、その共通言語がどこにあるのかも分からないまま、気がつけば、本来守られるべ人が傷つき、誰かのことを悲しんだり、悼むことすら難しくなった社会を生きています。

 

 聞き取りの間、真っ白なプロセス・レコードの用紙に、びっしりと埋められていく言葉を眺めながら、それらの言葉が、社会の中に生まれてしまった様々な空白を埋めていく、そんな感覚を覚えました。失われた言葉、想い、それらに近づき、自分たちの本来あるはずの姿を掴む手がかりを得ることが出来る。そう思いました。

 

 今、この緊急事態宣言の最中、ディスプレイの先にある殺伐とした空間から離れ、紙をめくり、見えないものの先にある風景を想像して欲しいと思います。ここにある記録は、日々伝えられる数値の先にある、一人ひとりの尊厳に向き合っている人々の言葉です。                            

                         

                                           二〇二一年五月 記録者  小原 一真

 

 

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お話を聞かせてくれる方、

プロセスレコードの取り組みにご協力頂ける方を探しています。

 

新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方のご遺族、新型コロナウイルス感染症病棟・療養施設、訪問医療などで看取りをした医療・介護従事者の方でお話を聞かせてくださる方を探しています。

 

2021年5月15日午前現在、日本では11,382人の感染による死者が確認されています。しかし、この間、日本社会はその一人ひとりの実像をほとんど知ることが出来ないまま1年もの時を過ごしてしまいました。ケアされるべき人々が差別の対象となり、一人の死がもたらす悲しみを社会が共有し、その死を悼むことは出来ませんでした。死から遠く離れた多くの人々は、日々の数値の増減を追うことしか出来ませんでした。

 

この数ヶ月間、世界では様々な国、地域において、パンデミック下で亡くなられた死を悼む追悼式典が行われてきました。数値の先にある一人ひとりに起きた死を知り、社会がその悲しみに少しでも近づこうとした時、私たちは初めて見えない他者のいたみを想像することが出来るのではないか、そう考えます。

 

オンライン、電話、メール、手紙など、どのような形でも構いません。

プロセスレコードの場合、お亡くなりになる過程で大切にしたい、共有したいご経験について「見たこと・聞いたこと」「考えや感じたこと」「言ったこと・行ったこと」を時系列に番号を振って次頁の用紙の空白欄にお書き込みください。。

 

送り方は、直接記入したものを携帯写真などで撮影して下記メールアドレスまで画像を送付ください。もしくは、スキャンやコピーしてプリントしたものを郵送でも構いません。郵送先に関する問い合わせも含め、

 

全てのご質問は、kazuma924(at)gmail.comまでご連絡下さい。

空白を埋める 1 ver 1.5

2021年7月11日発行

発行・文・写真 小原一真

https://www.kazumaobara.com/

 

デザイン 矢部綾子(kidd)

 

協力

吉川陽子

平野謙一

森旭彦

 

助成 

National geographic Society 

COVID-19 EMERGENCY FUND FOR JOURNALISTS

空白を埋める 2 ver 1

2021年7月11日発行

発行・文・写真 小原一真

https://www.kazumaobara.com/

 

デザイン 矢部綾子(kidd)

協力

吉川陽子

平野謙一

森旭彦

木村肇

林典子

 

助成 

National geographic Society 

COVID-19 EMERGENCY FUND FOR JOURNALISTS

小原一真(おばらかずま)

1985年岩手県生まれ。大阪府在住。写真家、ジャーナリスト。スイス、フォトエージェンシーKEYSTONE-SDAパートナーフォトグラファー。ロンドン芸術大学フォトジャーナリズム修士課程卒業。2012年、東日本大震災と福島第一原発・原発作業員を記録した写真集『RESET』(ラースミュラー出版/スイス)、2015年には太平洋戦争で被害を受けた子供たちの戦後を描いた「Silent Histories」(RM/スペイン)を発表。長期的視野からチェルノブイリ原子力発電所事故を記録した 『Exposure/Everlasting』(2015)では、世界報道写真賞をはじめ、国際的な賞を多数受賞した。2016年、フランスのFestival Photoreporterより助成を得て、ビキニ水爆実験で犠牲をおった漁師に焦点を当てた「Bikini Dairies」、2018年にはオランダ大使館より助成を得て、第二次世界大戦で日本軍によって犠牲を負った人々の戦後を描く「A story」を現在も進行中。災禍の中で見えなくなっていく個に焦点を当てた作品制作に精力的に取り組みながら、2020年には米ナショナルジオグラフィック協会より助成を受けて、コロナ禍の最前線で働く看護師・介護士による看取りの記録を続けている。本を媒体としやヴィジュアルストーリーテリングのワークショップをヨーロッパを中心に開催する他、国際的なBook Awardの審査員なども務める。写真集は米TIMES紙Best Photobook選出やParis-Photo Aperture photobook Awardショートリストなど海外で高い評価を得ている