Exposure

タイトル EXPOSURE

著者: 小原一真
サイズ:

Everlasting 18.9 x 23.9 cm

Exposure 12.5 x 19 cm

新聞 42.3 x 59 cm

*日本語のエッセイと特に大切な部分の日本語訳をまとめた小冊子付 


言語: 英語

ISBN: 978-84-17047-33-7
出版年: 2017

​出版社: Editorial RM(メキシコ)

​著者サイン入り

価格: 9500円(税込)

​国内送料1000円

Exposure -  被曝・露光・告白

2016年に手製本として86冊のみ作られた本作品は2017年にメキシコ・スペインを拠点に美術書を出版するEditorial RMより普及版として1900冊出版された。本作は2冊の写真集「Exposure」と「Everlasting」、そして事故の日にプリピャチ市に投函された1986年4月26日の新聞(レプリカ)で構成されている。米Photo-eyeの年間ベスト写真集(トッド・ハイド選)に選ばれたほか、世界報道写真賞など様々な賞を受賞した。

Exposure

チェルノブイリ原子力事故の影響を受けた女性の半生を描写したシリーズ。ロングインタビューとともに構成される。

原発から約100キロ南に位置するウクライナの首都キエフで生を受けたマリアは、小さい頃から精神疾患と誤診されながら、幼少期のほとんどの時間を病院で過ごした。 19 歳の時に初めて甲状腺の病気であるとの診断を受け、24歳で甲状腺を全摘、以降、彼女は10から20錠もの薬を毎日飲み続けなくてはいけない体になった。しかし、甲状腺の病気は言葉でそれを説明しない限り、外見には見えづらく、その「痛み」の見えなさが彼女を苦しませ続けてきた。
この作品で小原は、使用期限が切れた中判フィル ムを使用した。それらのフィルムは原発から1キロ地点に位置する廃墟、プリピャチ市で発見された未使用のフィルムで、長年にわたり放射線に被爆していた。Exposureというタイトルは3つの意味から成る。一つは写真用語として、フィルムに光を取り込む「露光」。もう一つは、チェルノブイリ事故で見えなくなってしまったものを公に「告白(曝す)」すること。そして3つ目は「被曝」。写真家がフィルムを露光させることによって、彼女のストーリーに日が当たり、世界へその存在と見えない痛みを想像させる。 

 

Everlasting

15時55分、「セカンドトレイン」と原発作業員たちに呼ばれる午後 2本目の列車がゆっく りとチェルノブイリ原発を出発し、彼らの住むスラブティチ市駅へと向かった。 チェルノブイリ事故後の1986年10月、時のソ連政府によって建設が決定したスラブ ティチ市は、事故後、避難地域となったプリピャチ市(原発から約1キロ地点)から作業員とその家族を受け入れる為に作られた。現在、スラブティチ市には約25,000人が暮らし、廃炉作業とその管理の為の作業員が居住している。そのスラブティチ市から直線上にチェルノブイリ原発まで伸びる線路は、事故後に敷かれ、甚大な犠牲を強いられた リクビダートル(事故直後に働いた作業員のことの呼称)の息子や孫の世代が、今もな おチェルノブイリ原発へと仕事に向かうために使用する。

 

僕が初めてこの列車に乗ったのは2015年3月、チェルノブイリ原子力発電所見学を終 えた直後だった。原発を案内する担当官に促されるまま着席したものの、車内ごとソ連 時代にタイムスリップしたかのような風景に心奪われ、すぐに座席を立ち、夢中でシャッ ターを切りはじめた。太陽は大分傾き、赤い夕日が大地を染めた。ふと、4列程先に座る 作業員に目が止まった。何をするでもなく、じっと外の風景を眺める若い作業員。彼の目の先には、手つかずの草原が広がっていた。事故後、立入禁止区域になり、人の手が はいらなくなった景色。30年前に彼の父親や祖父が事故処理をしていた時に見たもの と同じであろう風景。その姿は、彼の父親が30年前、同じように車窓を眺めながら、原 発での作業を終え、家路に帰る風景を僕の頭によぎらせた。まるで過去を見ているよう な錯覚。事故後、彼のように若い作業員たちが事故直後の過酷な現場に大量に投入 され、数千から数万とも言われる人間が被曝によって死亡した。彼は自分の父親が 30 年前にしたように、シートにもたれ、体を休めているのかもしれない。そして、彼と同じよう に、彼の子ども、孫、ひ孫たちが世代を超えて、この延々と続くように思われるチェルノブ イリ原発での仕事が引受けて行くのだろう。

 

列車の撮影を始めた翌月、僕は二人のカップルに出会った。パーシャとナレシュカだ。そ の2ヶ月後の7月に結婚することを知らされ、9月には結婚式に参加した。二人が同棲を はじめてからは、二人が眠るベッドの横に寝袋を敷かせてもらい同じ部屋で眠った。季節 は春から夏、そして秋を迎え、冬になった。そして、僕にとって二度目の春を迎える頃、妻 のナレシュカが子どもを授かったことを知った。1年間という短い間に、二人を巡る環境 は劇的に変わり、そして、新しい命が芽吹き始めた。僕は四季の変化を車窓から眺めながら、この地で行われてきた同じような愛の営みと、そして、これからも行われる愛の営み に思いを馳せた。人が生まれ、結婚し、子どもが生まれ、老い、死んでいく。延々と引き継がれて行く廃炉作業とその地で繰り返されて行く人類の営み。僕は、その二つを認識することが非常に重要なことに思えた。

IMA Online

原発事故がなかったら、私たちはこの街で生まれていない
小原一真のジャーナリズムが伝えるチェルノブイリ

https://imaonline.jp/articles/interview/20191205kazuma-obara/#page-1

IMA Online

物語を「語る」写真集はいかにして生まれたのか?小原一真の創作の原点を追うロングインタヴュー【後編】

https://imaonline.jp/articles/interview/20170209kazuma-obara_2/#page-1

受賞歴
Photo-eye Best photobooks 2017 selected by Todd Hido
Magnum Graduates Photography Award, Winner
WIRED Audi INNOVATION AWARD, Winner
Hariban Award, Finalist
Nominated for Prix Pictet Japan Award

World Press Photo Award 2016, People, 1st Prize
Nominated World Press Photo Joop Swart Masterclass 2016
Nominated for the Magnum Photos Graduate Photographers Award 2016
Magnum Lens Culture Award 2016, Finalist
Nominated for Prix Pictet Award